睡眠負債を返済し、最高の睡眠を手に入れる秘訣【主治医が見つかる診療所】
2017年9月11日に放送された「主治医が見つかる診療所」では、スタンフォード大学にある世界最高峰の睡眠研究所のトップをつとめる西野精治博士をゲストに迎えて、睡眠負債と最高の睡眠を手に入れる方法について解説されていた。
しっかりとした睡眠を取ることで、様々な病気の予防の他、ダイエット、美容にも効果があることが分かったのでまとめておく。
目次
睡眠負債とは
睡眠不足はよく聞くが、睡眠負債とは何だろうか?
これは世界の睡眠研究で用いられている用語で、睡眠不足が慢性的に溜まっていっている状態のことだ。
例えばある人にとって、本当に必要な睡眠時間が7時間だとする。これに対して6時間しか寝なかった場合、1時間の睡眠不足となり、睡眠負債が1時間増える。次の日も6時間しか寝なかったとしたら、また睡眠負債が増えて2時間になる。こんなイメージだ。
睡眠不足はすぐに解消することが出来るが、睡眠負債の場合は知らない内にどんどん溜まっていくので、週末にどかっと寝たからといって返せるものではない。
この睡眠負債が溜まっていくと、がん、認知症、生活習慣病、高血圧、心筋梗塞、糖尿病といった様々な病気の発症リスクが高まるそうだ。
睡眠負債が溜まるとダイエットに失敗しやすい
睡眠負債が溜まると、身体の様々なバランスが乱れて太りやすい状態に陥る。ダイエットをしている人は睡眠もしっかり取ろう。
レプチンとグレリン
十分な睡眠を取らないと、食欲を抑えてエネルギー代謝を高めるホルモンであるレプチンがあまり分泌されない。
逆に、強力に食欲を促進するグレリンが胃から分泌されてしまう。
その結果、すごくお腹が減ってしまいダイエットがうまくいかなくなる。
確かにテスト勉強で徹夜明けの朝はものすごくお腹が減っていた気がする。
成長ホルモンの分泌が悪くなる
成長ホルモンと聞くと、身体の成長に関係するホルモンだと想像してしまうが、実はダイエットや美容にも効果がある。
まず成長ホルモンは糖質の代謝にも影響しているので、分泌がされないと太る原因になってしまう。
また、人は寝ているときに寝汗を掻くが、これは成長ホルモンが脂肪を燃焼してくれているからだそうだ。
ちなみにある研究では睡眠時間が短い女性は、BMIが高くなる傾向があることが分かっている。
さらに、成長ホルモンは、同時に肌や粘膜を再生して、身体を若々しくしてくれる。日中の日差しで日焼けした肌の色素も、この成長ホルモンの働きによって回収されるので、良質な睡眠は美容効果にもつながっている。
ホルモンのコントロールセンターは、脳の視床下部と下垂体にあるので、睡眠不足によって脳の状態が悪くなるとホルモンバランスが崩れやすくなり、これらの効果も十分に発揮されなくなってしまうのだ。
眠らないと、太るだけだではなく細胞の再生活動も鈍くなり、お肌も荒れて抜け毛も増えるので、女性だけでなく男性にも重要な話だ。
睡眠と病気
睡眠不足が続き睡眠負債が溜まると、様々な疾患の発病リスクが高まる可能性がある。
認知症
アルツハイマー型認知症とは、脳にアミロイドβという物質が溜まっていくことで発症することが分かってきた。
アミロイドβは、脳が活発に活動する日中に多く分泌される。本来は眠ることで分解され排出されるが、睡眠が不十分だと分解が進まず脳内に溜まっていってしまう。
睡眠負債があるから認知症が発症するわけではないが、十分な睡眠がとれないことで発症のリスクが高まる可能性があるようだ。
免疫力の低下
体内で病原体等を攻撃して、病気から守ってくれる免疫。実は睡眠負債が溜まると免疫力も低下してしまう。
免疫システムの中でも重要な働きをするのがNK細胞(ナチュラルキラー細胞)。身体の中で発生したがん細胞や、体外から侵入してきたウィルスをやっつけてくれる。このNK細胞は睡眠中に活発に働くが、睡眠が不十分だと活性化されない。
そのため、睡眠負債が溜まっている状態だと、NK細胞の働きが低下し免疫力が落ちるので、様々な病気の原因になると考えられる。
最高の睡眠を得るには黄金の90分を制するべし
ではここからいよいよ、最高の睡眠を得る秘訣について紹介していく。
西野精治博士の解説によると、眠り始めの90分が最も深い眠りであり、黄金の90分と呼ばれているそうだ。
実は成長ホルモンの7~8割がこの最初の90分間で分泌されるようであり、眠り始めの90分間を逃すと十分に分泌が行われず、病気の予防や美容への効果も不十分になってしまう。
つまり、この黄金の90分間をいかに深く眠れるかどうかで、最高の睡眠を得れるかどうかが決まってくるのだ。
最初の90分がしっかり眠れなかった8時間睡眠と、最初の90分をしっかり眠った6時間睡眠では、後者の方が脳や身体にとって良い睡眠となる。
黄金の90分を制する4つのポイント
この黄金の90分を深く眠り、最高の睡眠を得るためのポイントが4つある。
(1)必ず朝日を浴びる
まず1つ目のポイントは、朝起きたら太陽の光を浴びる事。これによって体内時計がリセットされる。朝日を浴びる時間は1分程度でいいらしいので、朝起きたらカーテンを開けて伸びをしよう。
(2)朝に軽い運動をする
2つ目のポイントは、朝に軽い運動をすることだ。西野博士は毎朝10分~15分かけて自転車で通勤しているらしい。
汗をたくさんかくような運動をしてしまうと、疲れが出て日中のパフォーマンスにも影響するので、あくまで軽い運動で十分とのことだ。
(3)入浴で深部体温を下げる
人間の体温には、身体の表面の温度である皮膚温度と、体内の温度である深部体温の2種類がある。
通常では深部体温の方が、皮膚温度と比べて2度ほど高くなっているが、この2つの体温の差が縮まると、眠りやすいらしい。
そこで手っ取り早く深部体温を下げるのが、入浴だ。
体温は上げると下がっていく性質がある。入浴することで、一時的に深部温度が0.5度ほど上昇するが、90分程で元の体温に戻る。だが、下がり始めた体温はそこで止まらず、さらに下がっていき、皮膚温度との差が縮まるのだ。
つまり、このタイミングで横になると眠りに入りやすい。
具体的な入浴のタイミングは次の通り。
24時に寝たい場合
・22時に入浴して、30分ほど過ごす。
・22時30分にお風呂から上がる。
・そこから90分間リラックスして過ごし、24時に就寝。
このスケジュールを意識して入浴していきたい。
夕食時に体を冷やす食べ物を食べる
最後のポイントは、夕食時に身体を冷やす食べ物をとることだ。オススメの食材はトマトやキュウリ。また、パイナップルやスイカもデザートで食べると良いらしい。
その他のポイント
上記の4つのポイントを踏まえたうえで、さらに睡眠の質を高めるポイントがある。
カフェインの摂取時間
脳を活性化してくれるカフェインが含まれるコーヒーを日常的に取っている方は多いだろう。
このカフェインの影響は人によっては6時間ほど続く場合があるので、コーヒーは寝る6~7時間前までに摂り終わるのが望ましい。
リラックスする
人間はストレスを感じると交感神経が高まるが、眠りや体温を下げるということは、副交感神経が優位になっている状態。
いかに心をリラックスできるかも重要なポイントとなる。
寝る前にスマホやPCの強い光を浴びない
寝る前にスマホやPCの強い光を浴びていると、脳が興奮して最初の90分の眠りが深くならない。
眠る前にはスマホやPCを見ないことを心がけたい。
睡眠の悩み
睡眠疾患という言葉を知っているだろうか?実は現代人で睡眠に悩んでいる人はたくさんいる。
睡眠時無呼吸症候群
これは、睡眠中に何度も呼吸が止まってしまう病気だ。呼吸が止まる度に脳と身体が覚醒するので疲れが取れない。その結果、日中ひどい眠気に襲われることが多い。
この病気がさらに恐ろしいのは、呼吸が止まることで酸素不足に陥り、脳に負担が掛かってしまうこと。その結果、脳卒中、心筋梗塞、狭心症などの発症リスクがたかまってしまう。
ある研究では、重度の無呼吸症候群を放置していると、8年後に40%が亡くなるという結果が出ている。
この睡眠時無呼吸症候群は、太った中年男性に多いと思われがちだが、日本人は一般的にあごが小さく気道が細いため、痩せている人や、女性・子供でも発症する可能性がある。
専門の病院やクリニックがある
いくら寝ても日中ひどい眠気に襲われる等、睡眠に気になることがある人は1度専門の病院やクリニックを受診することをお勧めする。
僕自身、夜中にうなるという症状があるので、その内一度診てもらうつもりだ。
まとめ
誰しも1度は日中ひどい眠気に襲われた事はあるだろう。
眠気を我慢しながらの作業は全くもって効率が上がらないので、日中のパフォーマンスを上げるためには、良質な睡眠が必要だ。
ただ今回の情報番組を通じて、良質な睡眠は病気の発症リスクを抑え、美容やダイエットにも高い効果がある事が分かった。
まさに、睡眠を制する者は人生を制するといっても過言ではないだろう。今回学んだポイントを1つでも日常に取り入れて、最高の睡眠を手に入れたい。
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